鉄腕アトム

ジル「鉄腕アトムに描かれた未来は、発達した科学技術によって作り出されたAI等を駆

 使した製品群(ロボット)と対峙して、試行錯誤や対立を繰り返す世界なのニャ」

ミケ「人間がロボット同士を戦わせたり、意思を持ったロボットと人間が争ったり、意

 思を持ったロボット同士がいがみ合ったり、いろんなシチュエーションが提示されて

 いましたね」

ジル「手塚治虫の予想した未来図は、半世紀以上経過した現在更には、はるか未来にお

 いて整合性のとれた形で具現化されると思われるニャ」

タマ「手塚治虫論……ですか?」

ジル「それに引き換え、ワシの予想した未来は、技術的には予想以上の進歩を遂げたに

 もかかわらず、肝心の人間が置き去りにされておるのニャ」

タマ「ワシの予想って、肝心の人間がって、だれが言ってるわけ?」

ジル「ワシじゃ‼ ジル・ドゥルーズが言っておるのニャ」

ミケ「師匠……猫ですけど」

ジル「……手塚治虫は科学がもたらす生活の利便性向上と、人間の共存をテーマとして

 いたが、その問題提起については今後も有効といえるのニャ」

ミケ「師匠はどのような未来を予想していたのですか?」

ジル「ワシは、科学がもたらす社会環境の変化に対応すべき人間像を模索しておったの

 ニャ。社会環境はワシの予想をはるかに上回る状況となったのに、大多数の人間は、

 半世紀前の地平にとどまっておるのニャ」

タマ「師匠のいう社会環境の変化の主たるものは、インターネットですよね‼」