リゾームとインターネット
ジル「ワシがリゾームを考察した時期には、インターネットは存在しなかった(出版さ
れた頃には黎明期ではあったが)何しろロボットや交通機関のような目に見える形で
想像できるものではないので、どのような意図により、どのような技術により、どの
ように実現していくのかは、想像し難い面が多分にあった」
ミケ「それで、現状についてはどう考えておられますか?」
ジル「はるかに超えて、まさしく千のプラトーというべきものだニャ」
タマ「何が超えているんですか?」
ジル「ワシのいうリゾームは、ツリーからプラトーへとリアルで接続はしていないのニ
ャ。ツリーは現実社会における生活基盤等の確立した自己であり、プラトーは無数に
存在する仮想世界なのニャ。極端に言えば二足の草鞋を履くどころか、千足の草鞋を
履くことも可能だということだニャ。半世紀前にはインターネットなど存在していな
いので、何足草鞋を履くにしても、現実世界でしか実現できなかった。レオナルド・
ダヴィンチのような人間以外がそれをすると、野たれ死にの憂き目を見ることになっ
たのニャ。想像を超えていると言ったのは、プラトーごとにインターネットに接続す
る創造物を作成するためのソフトのことだニャ。映像・グラフィックス・小説等、そ
の他にも数多くあるが、中でもDTM(デスクトップミュージック)の超越度には驚く
べきものがある。現実世界と仮想世界で二足の草鞋を履くことの一番の違いは?」
ミケ「時間です」
ジル「中でも、DTMの時間短縮度は想像を絶しておった。交響曲をオーケストラにより
初演して完成とすると、DTMによる仮想世界上の初演(演奏者不在ではあるが)まで
に要する時間は、とてつもなく短期間である。ゆえに、ダヴィンチでない人間が二足
や三足の草鞋を履いたからといって、現実世界における生活基盤を確保することは、
可能なはずなのニャ」